Lazarusインストール
Lazarus 1.8 のインストールと設定
事前に、「共通設定」ページを参照してください。
Lazarus インストール後の強化は「カスタマイズ例」、「パッケージインストール(その1)」、「パッケージインストール(その2)」を参照して下さい。
2018/5/22 に Lazarus 1.8.4 がリリースされました。インストール手順は以下の 1.8.2 と同様です。1.8.2 を 1.8.4 に読みかえて実行して下さい。
Lazarus は Free Pascal を言語処理系とした、Delphi 7 風のRAD環境です。
Lazarus のWebサイトはこちらです ⇒
http://www.lazarus-ide.org/
Lazarus は Free Pascal のRTL(Run-Time Library)やFCL(Free Component Library)の他に、Delphi の VCL にあたるコンポーネント群を LCL(Lazarus Component Library) として持っています。Delphi との互換性を目指していますが、言語仕様も含め完全互換ではありません。
Lazarus のインストールは、インストーラを実行するだけで、指示に従って進めば簡単にインストールできます。Lazarus は多くのプラットフォームで提供されていますが、ここでは Windows を前提に進めます。
Lazarus は1つの Lazarus IDE で 32bitアプリと64bitアプリの両方のビルドができるので、インストールは以下のどちらかをいます。両方インストールすることも可能です。ただし、AはOSが64bit環境である必要があります。
@ Lazarus 32bit版 + Lazarus 64bitクロス環境
A Lazarus 64bit版 + Lazarus 32bitクロス環境
最近では、Windows 10が普及しOSも64bitが標準になりつつあります。そのため、ここではAのインストールする手順を説明します。
32bitベースの@でも手順的には同じです。
Lazarus の入手 (Windows 64bit & Windows 32bitクロス環境) |
以下のURLを開いてダウンロードサイトを開きます。
ダウンロードサイトのURL ⇒
https://sourceforge.net/projects/lazarus/files/Lazarus%20Windows%2064%20bits/
以下のダウンロードサイトが開いたら、最新のバージョンをクリックしてインストーラ一覧を表示します。
「lazarus-
1.8.2-fpc-
3.0.4-win64.exe」と「lazarus-
1.8.2-fpc-
3.0.4-cross-i386-win32-win64.exe」の2つをダウンロードします。
「
1.8.2」の部分はLazarusのバージョン、「
3.0.4」の部分は組み込まれているFree Pascalのバージョンになります。
インストールした後は削除してよいので、ダウンロードの場所はどこでもかまいません。ファイル名のリンクをクリックするとダウンロードできます。
ターゲットが64bitだけで良い人も両方ダウンロードしてください。64bit版は32bit版に追加するクロスコンパイラで提供されます。
Windowsの Lazarus の場合、事前に別途 Free Pascal をインストールしておく必要はありません。Lazarus のインストーラに含まれます。また、Free Pascal単体のインストールとは別の場所で管理されるので、Free Pascal を単体でインストールしていても問題ありません。
32bit版のダウンロードサイトは以下になります。
ダウンロードサイトのURL ⇒
https://sourceforge.net/projects/lazarus/files/Lazarus%20Windows%2032%20bits/
最新のバージョンをクリックし、「lazarus-
1.8.2-fpc-
3.0.4-win32.exe」と「lazarus-
1.8.2-fpc-
3.0.4-cross-x86_64-win64-win32.exe」をダウンロードします。
移行の手順の「
C:\lazarus1.8\prog64」を「
C:\lazarus1.8\prog32」、「
C:\lazarus1.8\conf64」を「
C:\lazarus1.8\conf32」い読み替えて実行します。
それ外の部分も、「64」を「32」に読み替えて実行します。
Lazarus Windows 64bit版のインストール |
「lazarus-
1.8.2-fpc-
3.0.4-win64.exe」を実行するとWin64版のインストールが始まります。
[Next>]ボタンをクリックします。
Lazarus のインストールディレクトリを指定します。デフォルトでは「C:\lazarus」ですが、複数インストールに対応するためユニークなディレクトリ名にします。
ここでは、「
C:\lazarus1.8\prog64」とします。また、Lazarus 1.2.0から、環境設定ファイルの置き場所をインストール時に指定できるようになりました。この機能を使用するには、[Create a new secondary instration]をチェックします。secondaryとなっていますが、最初のインストールでも有効です。
設定したら、[Next>]ボタンをクリックします。
環境設定ファイルのディレクトリを指定します。複数インストールに対応するためユニークなディレクトリ名にします。
ここでは、「
C:\lazarus1.8\conf64」とします。
prog64ではなく
conf64なので注意してください。
設定したら、[Next>]ボタンをクリックします。
Free Pascal のコンポーネントのインストール方法が出るので、「Full instration」を選択します。
もし不要なAssociate(拡張子の関連付け)があればチェックをはずします。設定を変更すると「Custom instration」になります。
[Next>]ボタンをクリックします。
Windowsのスタートメニューの項目名を指定します。デフォルトでは「Lazarus 2」ですが、複数インストールに対応するためユニークなメニュー項目名にします。
ここでは、「
Lazarus 2 (Win64)」とし、[Next>]ボタンをクリックします。
以前のLazarusの環境設定ファイルを削除するかどうかを聞いてきます。
[Delete all user configuration files from previous install]をチェックすると、これまでのLazarusの環境設定ファイルを削除してからクリーンインストールを行います。以前の設定を保持してバージョンアップしたい場合などはチェックを外します。
[Next>]ボタンをクリックします。
インストールの準備ができたので、 [Install]ボタンをクリックします。
インストールが開始します。完了するまで待ちます。
セットアップが完了すると、終了画面が表示されます。[Finish]ボタンを押して閉じます。
Lazarus のインストールはプログラムの展開のみで、環境設定ファイルは作成しません。環境設定ファイルは、Lazarus の最初の起動の時に作成されます。
引き続き32bitクロス環境アドオンのインストールを行ってください。
Lazarus Windows 64bit版に、Window 32bitクロス環境アドオンのインストール |
Windows 64bit版のインストールが完了していることが前提条件です。
「lazarus-
1.8.2-fpc-
3.0.4-cross-i386-win32-win64.exe」を実行するとWindow 32bitクロス環境アドオンのインストールが始まります。
設定したら、[Next>]ボタンをクリックします。
Lazarus のインストールディレクトリを指定します。デフォルトでは「C:\lazarus」ですが、Windows 64bit版へのアドオンなので、同じディレクトリ「
C:\lazarus1.8\prog64」を指定します。
設定したら、[Next>]ボタンをクリックします。
すでに Lazarus の Windows 64bit版がインストールされているので、「C:\lazarus1.8\prog64」が存在するが進めて良いか聞いてきます。
アドオンなので問題ありません。そのまま[はい(Y)]ボタンをクリックします。
インストールの準備ができたので、 [Install]ボタンをクリックします。
インストールが開始します。完了するまで待ちます。
セットアップが完了すると、終了画面が表示されます。[Finish]ボタンを押して閉じます。
特に必要ありません。
Lazarus を起動すると、コンパイラのPATHなどはIDEの中で管理されます。
Windowsのスタートメニューから[Lazarus 2 (Win64)]-[Lazarus]を選択します。
Lazarus をはじめて起動するとLazarus IDEの設定確認画面が表示されます。これは初回のみです。
正しくインストールされていれば、特に設定する所はありません。
[Lazarus]、[Compiler]、[FPC sources]、[Make]、[Debugger]を確認し、[Start IDE]をクリックします。
Lazarusが起動します。
既定の設定では、メニューなどの表示は英語表示になっています。
Lazarus のショートカット作成(デスクトップ) |
デスクトップにLazarusのショートカットを作成すると起動が容易になります。
デスクトップでマウスの右クリックメニューで[新規作成(X)]-[ショートカット(S)]をクリックします。
[項目の場所を指定してください(T):]に「C:\lazarus1.8\prog64\lazarus.exe」を設定します。
[次へ(N)]をクリックします。
[このショートカットの名前を入力してください(T):]にショートカットの構えを設定します。
名前は自由に設定できます。以下の例では「Lazarus 1.8 (Win64)」としています。
[完了(F)]をクリックするとデスクトップにショートカットが作成されます。
デスクトップのショートカットをダブルクリックするとLazarusが起動します。
Lazarus を起動し、[Tools]-[Options...]を選択すると、「IDE Options」が開きます。
左の項目で[General]を選択し、[Language]のプルダウンから「Japanese [ja]」を選択して[OK]ボタンをクリックします。
言語の変更は[OK]ボタンをクリックしただけでは反映されないので、Lazarus を一旦終了し、再度起動するとメニュー表示などが日本語に変わります。
各ウインドウのレイアウトはマウスで自由に設定できます。
「プロジェクトインスペクタ」ウインドウは、メニューの[プロジェクト]-[プロジェクトインスペクタ...]で表示します。
「コードエクスプローラー」ウインドウは、メニューの[表示]-[コードエクスプローラー]で表示します。
「メッセージ」ウインドウは、メニューの[表示]-[メッセージ]で表示します。
Lazarus の Hello, world.
上記のインストールを行った場合、Lazarusのプロジェクトのデフォルトの設定は Windows 64bit となります。
Lazarus を起動すると上のように、GUIアプリケーションひな形が表示されます。
このひな形プロジェクトに名前を付けてプロジェクト用のディレクトリに保存します。
C:\PG\Lazarus に HelloWin64 というサブディレクトリを作成し、その中にプロジェクトを保存します。
Lazarus IDEのメニューから[プロジェクト(P)]-[名前を付けてプロジェクト保存 ...]を選択します。
「project1.lpi」を「HelloWin64.lpi」と名前を変えてして C:\PG\Lazarus\HelloWin64 へ保存します。
「unit1.pas」はそのまま C:\PG\Lazarus\HelloWin64 へ保存します。
これで、プロジェクト HelloWin64 ができました。
コンポーネントパレットの[Standard]タブから、ボタンとラベルをフォームに配置します。
配置は、コンポーネントをクリックして選択し、フォームの配置したい場所で再度クリックします。ドラッグではありません。
配置されたコンポーネントの移動は、クリックで選択してドラッグすると移動します。Deleteキーでフォーム上から削除することもできます。
フォーム上の「Button1」をダブルクリックすると、Button1のクリックイベントの手続き(メソッド)が自動的に作成されます。
procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
begin
end;
begin と end の間に処理を書きます。
procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
begin
Label1.Caption := '世界よ、こんにちは。';
end;
実行ボタンをクリックすると、HelloWin64 をビルドし、実行してくれます。
[Button1]ボタンをクリックすると、Label1の位置に「世界よ、こんにちは。」と表示します。
終了は、右上の「×」をクリックします。
unit1.pas は Free Pascal のユニットで、以下のようになります。これがForm1の処理のユニットになります。
unit Unit1;
{$mode objfpc}{$H+}
interface
uses
Classes, SysUtils, FileUtil, Forms, Controls, Graphics, Dialogs, StdCtrls;
type
{ TForm1 }
TForm1 = class(TForm)
Button1: TButton;
Label1: TLabel;
procedure Button1Click(Sender: TObject);
private
{ private declarations }
public
{ public declarations }
end;
var
Form1: TForm1;
implementation
{$R *.lfm}
{ TForm1 }
procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
begin
Label1.Caption := '世界よ、こんにちは。';
end;
end.
メインプログラムは、HelloWin64.lpr です。メインプログラムがプロジェクトファイルでもあります。
HelloWin64.lpr も Pascal ですが、拡張子は .pas や .pp ではなく、規定では .lpr になります。ちなみに Delphi では .dpr になります。
Delphiの .d
xx は、Lazarusでは .l
xx になる感じです。
program HelloWin64;
{$mode objfpc}{$H+}
uses
{$IFDEF UNIX}{$IFDEF UseCThreads}
cthreads,
{$ENDIF}{$ENDIF}
Interfaces, // this includes the LCL widgetset
Forms, Unit1
{ you can add units after this };
{$R *.res}
begin
RequireDerivedFormResource := True;
Application.Initialize;
Application.CreateForm(TForm1, Form1);
Application.Run;
end.
ここまでできれば、Lazarusの環境は完了です。
うまくいかなかった場合は、「共通設定」ページと本ページを再度見直してください。