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Lazarus 入門 [3]

■ ファイル名と拡張子

IDEオプション(Ctrl+Shift+O)[ファイル]を見るとPascalファイルのファイル名や拡張子についての設定があります。
既定では、Pascalの拡張子は「.pas」、Pascalファイ名は自動的に小文字化、新しいファイル名を提案するときは小文字で提案となっています。
この設定は、プロジェクトのメインファイル「.lpr」は対象外で、指定したプロジェクト名通り大文字小文字混在のファイル名で保存されます。
unit Unit1」のファイルは「Unit1.pas」として保存しても「unit1.pas」と自動的に小文字化されます。

これで特に問題があるわけではありませんが、この設定を変えてみたいと思います。(必須ではありません)

Linuxではファイル名が大文字小文字で区別されるので小文字で統一しておくのは良いと思いますが、Windowsの場合大文字小文字は同一と見なされるので、せっかくですから指定したとおりにファイル名が付けられたら良いと思います。また、unit名とも合わせることができます。

また、拡張子についても、「.pas」「.pp」「.p」と選択できますが、以下の様に使い分けたいと思います。

.pas – Delphi
.pp – Lazarus/FreePascal
.p – GNU Pascal

以下の赤い枠の部分のように設定して[OK(O)]ボタンをクリックします。

新しいプロジェクトを作成して保存してみます。

メニューから[ファイル(F)]-[新規…]を実行し、「アプリケーション」プロジェクトを選択して[OK(O)]ボタンをクリックします。

プロジェクトインスペクタを見ると、unit1の拡張子が「.pp」となりました。

以下の様な条件でプロジェクトを保存します。

・プロジェクト名:MyProject
・プロジェクトフォルダ:C:\PG\IntroLaz\Intro003\MyProject

メニューで[プロジェクト(P)]-[名前を付けてプロジェクト保存…]を実行します。

[保存(S)]をクリックし、続いてUnit1のソースファイルを保存します。
ファイル名が小文字化された「unit1.pp」ではなく、ユニット名と同じ「Unit1.pp」で提案されています。
まだ[保存(S)]はクリックしません。

さらに、「Unit1.pp」を「MainForm.pp」という名前で保存することにします。
ファイル名を「MainForm.pp」に書き換えて[OK(O)]をクリックします。

プロジェクトインスペクタを見ると、指定したとおりのファイル名となりました。

この状態で、メニュー[実行(R)]-[構築]を実行すると、実行ファイル「MyProject.exe」が作成されます。
既定では実行ファイルのファイル名はプロジェクト名と同じになります。

実行ファイル名はプロジェクト名ではなく、別な名前、例えば「MyProgram.exe」にしたいとします。
メニューの[プロジェクト(P)]-[プロジェクトオプション…] を実行して「プロジェクトオプション:MyProject」を開いて[パス]を選択します。
[
対象とするファイル名(-o):]のフィールドにプログラム名「MyProgram」を設定します。拡張子は設定しません。
拡張子はコンパイラが適切なものを自動的に付加します。

[OK(O)]をクリックして設定を完了します。

通常は、コンパイルまたは構築でビルドすけば良いのですが、今回は既に作成されているが不要となるMyProject.exeを削除してからビルドします。
杣場合、メニューの[実行(R)]-[Clean up and Build …]を実行します。

Lazarusのパッケージは再ビルド不要なので[パッケージ出力ディレクトリ][パッケージソースディレクトリ]のチェックは外し、削除対象範囲をプロジェクトだけにします。
既定では、実行ファイル(.exe)はプロジェクトソースディレクトリに作成されるので、この設定に「;*.exe」を付加します(セミコロンで区切ることを忘れないように)
これで、MyProject.exeも削除対象に入ります。

もし、パッケージのチェックを外し忘れた場合、必要なパッケージも再ビルドされるため時間が掛かりますが、それ自体は問題ではありません。

プロジェクト名は変わらず、実行プログラム名が指定の名前で作成されました。

プログラムを進める前に、まずプロジェクト、ユニット、実行ファイルなどのファイル名を決めることをお勧めします。

 

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Lazarus 入門 [2]

■ プロジェクト

Lazarusのインストールができたらプログラムを作成することができます。
それにはまずプロジェクトについて理解する必要があります。

LazarusIDE(統合開発環境)であり、プログラムのソースコードを記述するソースエディタやフォームのデザイナ、コンポーネントの管理、コンパイラの呼出、目的のプログラムの生成を制御します。
Lazarus
自体はコンパイラではなく、Free Pascalをコンパイラとして利用します。

プロジェクトとは、それらをまとめて管理するものです。Lazarusでの最初の作業はこのプロジェクトを作成することです。
Lazarus
では、起動すると自動的にデフォルトのプロジェクトを作成するので、そのままこれを利用することもできます。

プロジェクトの内容はプロジェクトインスペクタに表示されます。

プロジェクトインスペクタには、プログラムを構成するソースファイルや利用するパッケージの情報が表示されています。
ファイルを差異化する[Add]やプロジェクトのオプションを設定するための[Options]ボタンもあります。
このプロジェクトには2つのソースファイルproject1.lprunit1.pasがあります。拡張子は違いますがどちらもPascalプログラムです。

ソースエディタにはunit1.pasが表示されています。

unit1.pasはフォームForm1を制御するプログラムです。メインプログラムではありません。メインプログラムはプロジェクトインスペクタに表示されているproject1.lprです。
プロジェクトのメインのファイルは拡張子が.pasではなく.lprとなります。

プロジェクトインスペクタでproject1.lprをダフるクリックするとproject1.lprがソースエディタに表示されます。

メインプログラムのproject1.lprが外部ユニットunit1.pasを呼び出します。uses節でunit1を指定している部分です。

■ プロジェクトフォルダ

新規にプロジェクトを作成した場合、そのプロジェクトのファイルはまだディスクに書き込まれていません。
コンパイル(Ctrl+F9)、構築(Shift-F9)、実行(F9)をするとプロジェクトファイルは規定のフォルダに書き込まれます。
このときの規定のフォルダは、以下のIDEオプション(Ctrl+Shift+O)[ファイル][テストプロジェクトを構築するディレクトリ]で指定されているフォルダです。

このままでは新しくプロジェクトを作成しても同じフォルダが使用されてしまうため、正式にプロジェクトを進めるためには特定のフォルダに保存します。
例えば、以下の様な条件でプロジェクトを保存するとします。

・プロジェクト名:FirstProject
・プロジェクトフォルダ:C:\PG\IntroLaz\Intro002\FirstProject

メニューで[プロジェクト(P)]-[名前を付けてプロジェクト保存…]を実行します。

保存先のフォルダをC:\PG\IntroLaz\Intro002\FirstProjectとし、project1.lpiを新しいプロジェクト名のFirstProject.lpiにして保存します。
.lpi
ファイルがプロジェクトファイルになります。このファイル名部分がプロジェクト名になります。
プロジェクト名は、メインプログラムのプログラム名にもなるので、使用できる文字はOS(Windows)で使用可能な文字かつFree Pascalの識別子として使用可能な文字ということになります。
英数字と‘_’で指定して下さい。

続いて残りのソースファイルの保存になります。

保存先のフォルダは基本的には同じ場所で(違う場所でも可)、ファイル名はそのままでも良いですし、別の名前にしてもかまいません。
ここでは、そのままにしますが、指定する場合はプロジェクト名と同様英数字と‘_’で指定して下さい。このファイル名がFree Pascalのユニット名になります。

プロジェクトフォルダC:\PG\IntroLaz\Intro002\FirstProjectを見ると以下の様になります。

プロジェクトファイル(.lpi)、プログラムソースファイル(.lpr)、ユニットソースファイル(.pas)の他に、フォームファイル(.lfm)、リソースファイル(.res)、アイコンファイル(.ico)、プロジェクトセッションファイル(.lps)などが自動的に作成されます。

■ プロジェクトのビルド

プロジェクトのソースをコンパイル/リンクして実行プログラム(.exe)を作成することをビルドと言います。
メニューに以下のビルド関連のコマンドがあります。

[実行(R)]-[コンパイル] (Ctrl-F9)
 通常のビルドです。前回のビルドから変更があったファイルのみをコンパイルしてリンクを行います。
 実行プログラム(.exe)を作成します。メニューはコンパイルなのでコンパイルのみかと思いがちですが、リンクまで行います。

[実行(R)]-[構築] (Shift+F9)
 フルビルドです。全てのファイルを再コンパイルしてリンクします。
 完成してリリースするときにはフルビルドをするのがよいでしょう。

[実行(R)]-[高速コンパイル]
 コンパイルのみ行い、リンクは行いません。プログラムソースにエラーが無いかをチェックするときに便利です。
 実行プログラム(.exe)の作成は行いませんが、古いものを削除することはしないので残っているので気をつけて下さい。

■ プログラムの実行

ビルドが成功すれば、プロジェクトフォルダにある実行プログラムは直接実行することができます。上記の例ではFirstProjext.exe
Lazarus IDE
から実行(デバッグ)する場合は、メニューの[実行(R)]-[実行(R}]または、(F9)で実行できます。

FirstProject.exeはコントロールが何も無いフォームです。右上の[×]をクリックすると終了します。

デバッグについては別の回で説明したいと思います。

■ 既存のプロジェクトを開く

Lazarusを一旦終了して再度起動すると、再びデフォルトのプロジェクトが表示されます。
既に保存済のプロジェクトの作業を継続するには、そのプロジェクトを開きます。
プロジェクトを開くには、メニューで[プロジェクト(P)]-[プロジェクトを開く…]を実行します。(Ctrl-F11)でもOKです。

プロジェクトファイル(.lpi)を選択して開きます。ここではFirstProject.lpiを開きます。

プロジェクトインスペクタにFirstProjectが表示されます。

■ 新規プロジェクトを作成

Lazarusを起動するとデフォルトのプロジェクトが開かれますが、これはフォームアプリケーションです。
Lazarus
にはそれ以外のプロジェクトテンプレートがあり、目的に合わせて選ぶことができます。

新しいプロジェクトを開くにはメニューの[ファイル(F)]-[新規…]を実行します。

赤い線で囲った部分が新規のプロジェクトとして選択できるものです。

Lazarusを起動したときに表示されるデフォルトのプロジェクトは上記の[アプリケーション]です。

プロジェクトを選択すると右側の説明の所に簡単な説明文が表示されます。それを参考に選択して下さい。
さらに赤い線で囲まれていないものはプロジェクトに追加するモジュールや機能のセットです。これらでプロジェクトを拡張していくことができます。

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Lazarus 入門 [1]

■ Lazarusのインストール

Lazarusを使用するには、まず、自分のPCにLazarusをインストールする必要があります。
通常は、Lazarusのサイトからダウンロードしてインストールします。それから日本語環境にしたり、必要なパッケージを追加インストールしたりします。
これが結構面倒くさいので、Windowsでインストール及び各種設定済みの環境をZipしたものを用意しました。これをダウンロードして展開するとすぐにLazarusを使用することができるので今回はこれを使用します。また、今後のLazarus 入門の内容はこの環境を前提に話を進めます。

ダウンロードはこちら ⇒ Windows版 Lazarus イントールセット

今回は、上記の32bit版のタイプ-3を展開します。
以下のファイルを一時的な作業フォルダ(仮にC:\Workとします)にダウンロードします。
サイトの制限でZipファイルは分割して公開しています。
lazarus-1.6.4_Type3.zip.001
lazarus-1.6.4_Type3.zip.002
lazarus-1.6.4_Type3.zip.003
lazarus-1.6.4_Type3.zip.004
lazarus-1.6.4_Type3.zip.005
lazarus-1.6.4_Type3.zip.006
lazarus-1.6.4_Type3.zip.007

展開するには分割Zipに対応した解凍ソフトが必要です。既に持っている方はそれを使用して下さい。持っていない方は7-Zip(https://sevenzip.osdn.jp/)などをダウンロードしてインストールします。以下は7-Zipを例に示します。

7-Zipで上記をダウンロードしたフォルダ(C:\Work)を開きます。

1つめの「lazarus-1.6.4_Type3.zip.001」を選択します。

[展開]をクリックします。

[展開先(X)]に「C:\」(C:ドライブのルート)を設定し、その下のチェックボックスはオフにします。
「C:\」以外に展開しても動作しないので注意して下さい。

準備ができたら[OK]ボタンをクリックします。
展開が始まるので終了するまで待ちます。

終了すると、C:\lazarus-1.6.4に展開されます。
インストールはこれで完了ですが、デスクトップに起動するためのシュートカットを作成しておきましょう。
デスクトップのアイコンの無いところで右クリックメニューの[新規作成(X)]-[ショートカット(S)]を実行します。
項目の場所は「C:\lazarus-1.6.4\prog32\lazarus.exe」を設定します。

[次へ(N)]をクリックして進めます。
ショートカットの名前を設定します。名前は自由に付けられます。ここでは「Lazarus 1.6.4 Win32」としておきます。

[完了(F)]をクリックするとショートカットが作成されます。

このショートカットをダブルクリックするとLazarusが起動します。

初期状態は、画面の解像度(1366×768)に合わせたレイアウトになっています。
FullHD(1920×1080)に合わせたレイアウトにしたい場合は、以下のプルダウンで[1920×1080]を選択します。

選択するとすぐに切り替わります。

自分で各ウインドウのレイアウトを設定したい場合は、[default]を選択してから行って下さい。

これでインストール&設定は完了です。

すぐに遊べます。

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