Lazarus インストール
Lazarus 4.0 のインストールと設定

事前に、「共通設定」ページを参照してください。
Lazarus インストール後、「Lazarus 設定」も参照してみて下さい。
2025/5/5 に Lazarus 4.0 がリリースされました。使用する Free Pascal(同梱) は、3.2.2 です。
Lazarus は Free Pascal を言語処理系とした、Delphi 風のRAD環境です。
Lazarus のWebサイトはこちらです ⇒
http://www.lazarus-ide.org/
Lazarus は Free Pascal のRTL(Run-Time Library)やFCL(Free Component Library)の他に、Delphi の VCL にあたるコンポーネント群を LCL(Lazarus Component Library) として持っています。Delphi との互換性を目指していますが、言語仕様も含め完全互換ではありません。
Lazarus のインストールは、インストーラを実行するだけで、指示に従って進めば簡単にインストールできます。Lazarus は多くのプラットフォームで提供されていますが、ここでは Windows を前提に進めます。
Windowsも64bit環境が主流になったので Lazarus IDE も64bit版で説明します。32bitクロス環境を追加すると32bitをターゲットとして作成することもできます。
Lazarus の入手 (Windows 64bit版 と Windows 32bitクロス環境) |
以下のURLを開いてダウンロードサイトを開きます。
ダウンロードサイトのURL ⇒
https://sourceforge.net/projects/lazarus/files/Lazarus%20Windows%2064%20bits/
目的のバージョン(最新)をクリックしてインストーラ一覧を表示します。
「lazarus-
4.0-fpc-
3.2.2-win64.exe」と「lazarus-
4.0-fpc-
3.2.2-cross-i386-win32-win64.exe」の2つをダウンロードします。
「
4.0」の部分はLazarusのバージョン、「
3.2.2」の部分は組み込まれているFree Pascalのバージョンになります。
インストールした後は削除してよいので、ダウンロードの場所はどこでもかまいません。ファイル名のリンクをクリックするとダウンロードできます。
ターゲットが64bitだけで良い人も両方ダウンロードしてください。IDEは1つ(共通)で、Free Pascal の32bit版が64bit版のアドオンとしてインストールされます。
Windows版 Lazarus の場合、事前に別途 Free Pascal をインストールしておく必要はありません。Lazarus のインストーラに含まれます。また、Free Pascal 単体のインストールとは別の場所で管理されるので、別途 Free Pascal を単体でインストールしていても問題ありません。
32bit版のWindowsの場合
Lazarusの32bit版をインストールします。ダウンロードサイトは以下になります。
ダウンロードサイトのURL ⇒ https://sourceforge.net/projects/lazarus/files/Lazarus%20Windows%2032%20bits/
最新のバージョンをクリックし、「lazarus-4.0-fpc-3.2.2-win32.exe」と「lazarus-4.0-fpc-3.2.2-cross-x86_64-win64-win32.exe」をダウンロードします。
以降の手順の「C:\lazarus4.0\prog64」を「C:\lazarus4.0\prog32」、「C:\lazarus4.0\conf64」を「C:\lazarus4.0\conf32」い読み替えて実行します。
それ外の部分も、「64」を「32」に読み替えて実行します。
Lazarus Windows 64bit版のインストール |
「lazarus-
4.0-fpc-
3.2.2-win64.exe」を実行するとWin64版のインストールが始まります。
インストール時の言語を選択して[OK]ボタンをクリックします。
日本語はありません。とりあえず「English」で進めます。
Lazarus IDEの設定時には日本語の選択ができます。
[Next>]ボタンをクリックします。
Lazarus のインストールディレクトリを指定します。デフォルトでは「C:\lazarus」ですが、複数インストールに対応するためユニークなディレクトリ名にします。
ここでは、「
C:\lazarus4.0\prog64」とします。また、環境設定ファイルもインストールごとにユニークなディレクトリを指定するために[Create a new secondary instration]をチェックします。secondaryとなっていますが、最初のインストールでも有効です。
設定したら、[Next>]ボタンをクリックします。
環境設定ファイルのディレクトリを指定します。複数インストールに対応するためユニークなディレクトリ名にします。
ここでは、「
C:\lazarus4.0\conf64」とします。
prog64ではなく
conf64なので注意してください。
設定したら、[Next>]ボタンをクリックします。
Free Pascal のコンポーネントのインストール方法が出るので、「Full instration」を選択します。
これでよければ、[Next>]ボタンをクリックします。
もし不要なAssociate(拡張子の関連付け)があれば[Next>]ボタンをクリックする前にチェックをはずします。
例えば Lazarus 専用のファイル拡張子以外を他のテクストエディタなどと関連付けたい場合は 「.inc」「.pas」「.pp」 のチェックを外します。
設定を変更すると自動的に「Custom instration」になります。
設定したら、[Next>]ボタンをクリックします。
Windowsのスタートメニューの項目名を指定します。デフォルトでは「Lazarus 2」ですが、複数インストールに対応するためユニークなメニュー項目名にします。
ここでは、「
Lazarus 4.0 (Win64)」とし、[Next>]ボタンをクリックします。
以前のLazarusの環境設定ファイルを削除するかどうかを聞いてきます。
[Delete all user configuration files from previous install]をチェックすると、これまでのLazarusの環境設定ファイルを削除してからクリーンインストールを行います。以前の設定を保持してバージョンアップしたい場合などはチェックを外します。設定ファイルのディレクトリを新しくユニークに設定している場合はチェックは不要です。
設定したら、[Next>]ボタンをクリックします。
インストールの準備ができたので、 [Install]ボタンをクリックします。
インストールが開始します。完了するまで待ちます。
セットアップが完了すると、終了画面が表示されます。[Finish]ボタンをクリックして閉じます。
Lazarus のインストールはプログラムの展開のみで、環境設定ファイルは作成しません。環境設定ファイルは、Lazarus の最初の起動の時に作成されます。
引き続き32bit環境アドオンのインストールを行いますが、32bitターゲットの作成が不要な場合は必須ではあり飲ません。
Lazarus Windows 64bit版に、Window 32bitクロス環境アドオンのインストール |
Windows 64bit版のインストールが完了していることが前提条件です。
「lazarus-
4.0-fpc-
3.2.2-cross-i386-win32-win64.exe」を実行するとWindow 32bitクロス環境アドオンのインストールが始まります。
Lazarus のインストールディレクトリを指定します。
先にインストールした Windows 64bit版へのアドオンなので、同じディレクトリ「
C:\lazarus4.0\prog64」を指定します。
設定したら、[Next>]ボタンをクリックします。
インストールの準備ができたので、 [Install]ボタンをクリックします。
インストールが開始します。完了するまで待ちます。
セットアップが完了すると、終了画面が表示されます。[Finish]ボタンを押して閉じます。
特に必要ありません。
Lazarus を起動すると、コンパイラのPATHなどはIDEの中で管理されます。
Windowsキーでメニューを表示します。Windows 11 の例です。
検索欄に「lazarus」と入力すると Lazarus が表示されるので、これをクリックします。
インストール後、最初の起動では[Lazarus IDEを設定]のダイアログが表示されレイアウトの選択が求められます。
2回目以降の起動では最初に選択した設定で起動し、[Lazarus IDEを設定]のダイアログは表示しません。
[Lazarus IDEを設定]のダイアログで以下に示す4パターンのレイアウトを選択することができます。
パターン1 - Classic IDE & Classic Form Editor
開始すると昔ながらのマルチウインドウでコードエディタとフォームエディタも別ウインドウです。
パターン2 - Classic IDE & Modern Form Editor
開始するとコードエディタとフォームエディタが[ソースエディタ]ウインドウに統合されます。それ以外はマルチウインドウのままです。
[ソースエディタ]ウインドウには[Code][Form][Anchors]の3つのタブが追加され切り替えることができます。
[Form]タブを選択するとフォームの編集が可能になります。ソースの編集に戻るには[Code]タブを選択します。[Anchor]タブではコントロールのアンカーの編集ができます。
パターン3 - Modern IDE & Classic Form Editor
開始するとシングルウインドウで表示されます。ただし、フォームエディタだけフローティングの別ウインドウとなります。
フォーム/ユニットの表示切り替え[F12]でフォームを前面に表示することができます。
パターン4 - Modern IDE & Modern Form Editor
開始すると完全なシングルウインドウで表示されます。
[ソースエディタ]には[Code][Form][Anchors]の3つのタブが追加され切り替えることができます。
[Form]タブを選択するとフォームの編集が可能になります。ソースの編集に戻るには[Code]タブを選択します。[Anchor]タブではコントロールのアンカーの編集ができます。
どのパターンもメニューなどの表示言語は自動設定になっていて、日本語Windowsでは日本語表示になっています。
Lazarus のショートカット作成(デスクトップ) |
デスクトップにLazarusのショートカットを作成すると起動が容易になります。
デスクトップでマウスの右クリックメニューで[新規作成]-[ショートカット]をクリックします。
[項目の場所を入力してください(T):]に「C:\lazarus4.0\prog64\lazarus.exe」を設定します。
[次へ(N)]をクリックします。
[このショートカットの名前を入力してください(T):]にショートカットの構えを設定します。
名前は自由に設定できます。ここでは「Lazarus 4.0 (Win64)」としています。
[完了(F)]をクリックするとデスクトップにショートカットが作成されます。
各ウインドウのレイアウトはマウスで自由に設定できます。
以下は、『パターン4 - Modern IDE & Modern Form Editor』 の例です。
各タイトルバーにあるドッキングバー(出っ張ったブロック)をドラッグ&ドロップして各ウインドウのバッキング場所を変更することができます。
ドッキングバーをCtrlキーを押しながらドラッグ&ドロップするとドッキングが外れてフローティングウインドウとなります。
ドッキングバーを右クリックしてコンテキストメニューの[Show headers]のチェックを外すとドッキングバーが消えてレイアウトを固定できます。
その場合でも各ウインドウの境界をマウスでドラッグして幅や高さを調整することは可能です。
「プロジェクトインスペクタ」ウインドウは、メニューの[プロジェクト(P)]-[プロジェクトインスペクタ...]で表示します。
「コードエクスプローラー」ウインドウは、メニューの[表示(V)]-[コードエクスプローラー]で表示します。
「コンポーネント」ウインドウは、メニューの[表示(V)]-[コンポーネント(C)]で表示します。
「メッセージ」ウインドウは、メニューの[表示(V)]-[メッセージ]で表示します。
Lazarus の Hello, world.
上記のインストールを行った場合、Lazarusのプロジェクトのデフォルトの設定は Windows 64bit となります。
事前にC:\PG\Lazarus に HelloWin64 というサブディレクトリを作成しておきます。
Lazarusを起動します。
Lazarus を起動するとデフォルトのGUIアプリケーションが表示されます。
このプロジェクトに名前を付けて作成したディレクトリに保存します。
メニューから[プロジェクト(P)]-[名前を付けてプロジェクト保存 ...]を選択します。
保存フォルダに「C:\PG\Lazarus\HelloWin64」
[ファイル名(N)]を「project1.lpi」から「HelloWin64.lpi」に変更して[保存]ボタンをクリックします。
「unit1.pas」はそのまま[保存]ボタンをクリックします。
これで、プロジェクト HelloWin64 ができました。
IDEでフォームを表示し、コントロールを配置します。
コンポーネントパレットの[Standard]タブから、ボタンとラベルをフォームに配置します。
配置は、コンポーネントをクリックして選択し、フォームの配置したい場所で再度クリックします。ドラッグではありません。
配置されたコンポーネントの移動は、クリックで選択してドラッグすると移動します。Deleteキーでフォーム上から削除することもできます。
フォーム上の「Button1」をダブルクリックすると、Button1のクリックイベントの手続き(メソッド)が自動的に作成されます。
procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
begin
end;
begin と end の間に処理を書きます。
procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
begin
Label1.Caption := '世界よ、こんにちは。';
end;
IDEのクールバーで実行ボタンをクリックすると、HelloWin64 をビルドし、デバッグモードで実行してくれます。
プロジェクトを初めてデバッグモードで実行するとデバッグ情報の形式についての選択ダイアログが出ます。
そのまま[OK]ボタンをクリックします。
選択した情報は当該プロジェクトのプロジェクトオプションにに設定されるため次からはダイアログが出てきません。
各オプションの違いは以下のリンクを参照してください。その上で適切な選択をしてください。
https://wiki.lazarus.freepascal.org/DWARF
作成したプログラムが起動します。
[Button1]をクリックします。
Label1の位置に「世界よ、こんにちは。」と表示します。
終了は、右上の「×」をクリックします。
unit1.pas は Free Pascal のユニットで、以下のようになります。これがForm1の処理のユニットになります。
unit Unit1;
{$mode objfpc}{$H+}
interface
uses
Classes, SysUtils, Forms, Controls, Graphics, Dialogs, StdCtrls;
type
{ TForm1 }
TForm1 = class(TForm)
Button1: TButton;
Label1: TLabel;
procedure Button1Click(Sender: TObject);
private
public
end;
var
Form1: TForm1;
implementation
{$R *.lfm}
{ TForm1 }
procedure TForm1.Button1Click(Sender: TObject);
begin
Label1.Caption := '世界よ、こんにちは。';
end;
end.
メインプログラムは、HelloWin64.lpr です。メインプログラムがプロジェクトファイルでもあります。
HelloWin64.lpr も Pascal ですが、拡張子は .pas や .pp ではなく、規定では .lpr になります。ちなみに Delphi では .dpr になります。
Delphiの .d
xx は、Lazarusでは .l
xx になる感じです。
program HelloWin64;
{$mode objfpc}{$H+}
uses
{$IFDEF UNIX}
cthreads,
{$ENDIF}
{$IFDEF HASAMIGA}
athreads,
{$ENDIF}
Interfaces, // this includes the LCL widgetset
Forms, Unit1
{ you can add units after this };
{$R *.res}
begin
RequireDerivedFormResource:=True;
Application.Scaled:=True;
{$PUSH}{$WARN 5044 OFF}
Application.MainFormOnTaskbar:=True;
{$POP}
Application.Initialize;
Application.CreateForm(TForm1, Form1);
Application.Run;
end.
ここまでできれば、Lazarusの環境は完了です。
うまくいかなかった場合は、「共通設定」ページと本ページを再度見直してください。
プログラムを初めて実行するときに、デバッグ情報の形式の選択ダイアログがましたが、プロジェクトのオプションで選択結果の確認と変更ができます。
メニューから[プロジェクト(P)]-[プロジェクトオプション...]を選択すると、[プロジェクトのオプション]フォームが表示されます。
左の項目で[デバッグ]を選択すると、[デバッグ情報の形式]で選択した形式の確認ができます。
[OK]ボタンをクリックするとオプション表示が閉じます。
[デバッグ情報の形式]で選択した形式のプロダウンで形式の変更ができます。
[OK]ボタンをクリックするとオプション表示が閉じます。